紗和と裕一郎のイブ 

「北野先生は不安にならないの?」


クリスマスイブの夜。
紗和は裕一郎のベッドにもぐりこんだ。


雪が降ったせいか、部屋の中も冷え冷えとした空気が流れている。
でも、そんな夜も二人でいれば寒くない。


「何が?」
わかっているけど、あえて聞いてみた。


紗和と裕一郎が正式に再婚して二年が経った


裕一郎にも男としてのプライドがある。
子供がなかなか出来ないとなると、男としての能力をダメ出しされているような気がする。


「多少自信はあったんだけどな…」
 


「え?」


紗和はそう裕一郎に聞いてきたが、あえて答えなかった。
そして、ちょっとした愚痴から深刻な悩みまで話す紗和の声をBGMにし、


最近悩むことが多くなった紗和を見て、ふと乃理子の事を思い出すようになった。


  





「裕一郎さん、聴いてるの?」
紗和が頬を膨らませている。
先ほどからの紗和の声は、裕一郎の耳には入っていなかった。




卑怯な手段だとわかっているが、詫びの気持ちを示すため、裕一郎は紗和の唇を自分の唇で塞いだ。
絡み合う舌の熱さが、これからの行為の始まりを告げる。


そして、紗和とのキスを堪能した裕一郎は、次に紗和の胸の膨らみを弄ぶ。


紗和から漏れてくる甘い吐息。そのうちにパジャマの上からでもはっきりとわかる突起が胸に現れた。


「ず…るいわ…… あなただけ… 私にもあなたを…愛させて…」



紗和は裕一郎の股間に手を伸ばす。
裕一郎の分身はすでに硬くなっていた。
握り締めた瞬間、紗和の全身に淫らな気持ちが駆け巡った。


いつもそうしているように、これで貫いてほしい。
そして、早く裕一郎の導く快感に身を任せたかった。


紗和が裕一郎の分身を服の上から上下にさすると、素直に反応する。



「これを入れてほしいの。私の中に」


そう言いながら上目遣いで裕一郎を見つめる。
以前の彼女なら絶対言わなかった台詞。そして、絶対しなかった欲情の眼差し。。


裕一郎は自分が紗和を変えたことを実感する。
でも、決して嫌悪する変化ではない。
むしろ、待ち望んでいた変化だ。


しかし、裕一郎も余裕があるとは言える状況ではなかった。
早く紗和の果実を味わいたかった。


慣れた手つきで紗和のパジャマを脱がせる。


紗和の下着が、白い肌の上で淡く光っている。
繊細な刺繍をほどこされたレースは紗和が裕一郎を待ちわびていたことを教えてくれる。


裕一郎はそんな下着に愛を込めて丁寧に取り払う。
そして自分も素早く服を脱ぐ。


裕一郎が紗和の秘所に指を差し入れると、そこは既に潤っていた。
ねっとりとした熱い液が、裕一郎の指を包み込む。


「いやらしい身体だな…」
「あなたがそうしたんでしょう?」


艶っぽく返す瞳。
裕一郎は一瞬、息を飲む。
再び、紗和が心も体も成熟したことを気づかされる。


我に返って、裕一郎は快楽の入口に分身をあてがう。


数えきれないほど愛してきた身体。
しかし、挿入する瞬間に自分を包み込む快感は、初めての時と決して変わることがない。


「キツいな…」


挿れただけで、イってしまいそうだ。
しかし、さらなる快感を味わうため、快楽の波に体を委ねながら、裕一郎は腰を前後に動かす。


「そ…んなこと……いわな…いで…」


紗和にあるのは、ただ解放してほしいという気持ち。
裕一郎がもたらす快楽と苦痛がせめぎあう波から早く抜け出したかった。


しかし、裕一郎は紗和をさらなる快楽の海に呼び込もうとした。


「後ろ、向いて」


高圧的な裕一郎の台詞。
だけど、紗和にとってそんな裕一郎の態度は嫌ではなかった。
むしろ、裕一郎の望むように乱れ、自分を解放したかった。


紗和は体を反転させ、頭を枕に埋もれさせる。


獣のように愛し合う体位。
口には出さないが、二人ともこの体位が好きだった。


奥まで入る裕一郎の分身。
後ろから少し荒く胸を揉む裕一郎の大きい手。
そして、見えない裕一郎の姿。
それらが紗和を余計淫らにさせる。


裕一郎も高ぶっているのが、息の荒さでわかる。
闇の中で二人の腰が激しくぶつありあうのが響き渡る。
まるで、二人の享楽が混ざりあって、高みを極めようとするように。


「紗和はずっといい女だよ…」


本当はもっともっと紗和を愛し尽くしたい。
だけど、紗和のこの身体の魅惑的な身体の前では、限界だった。


「ゆ…いち… わた…し もう……だ…め……」


「ぼくも…」


 愛してる。
 いつだって。どんな時だって。


「うっ……」


裕一郎の短いうめき声の後、裕一郎の分身から白濁の液が紗和の胎内に注ぎ込まれた。


紗和は快感に流され、意識を失ってしまった。




火照った身体から熱が引いていくのは寂しい。
二人はベッドの上で抱き合っていた。


ふと、裕一郎が呟く。


「子供、出来るといいな…」


いつになく寂しそうな瞳と紗和を慈しむ声。
その優しさに包まれながら、紗和は本音をもらす。


「そうね、期待しちゃいけないとはわかっているけど。でも期待しちゃう」



その時、ホタルが舞い降りた。。。。